「そして明日がその当選番号の発表日だ」
「マジかよ、最高じゃねーか! これで会社も辞めて、一生豪遊だ! カネがあれば女なんてすぐできる、たまらねぇ。早速買いにいくぞ! ってその前に番号聞かなきゃな。ここじゃなんだ、まあ上がれよ俺。汚い部屋だけど……っていうかお前も俺だから気にしないか」
そう言って俺は俺を部屋に上げ、当選番号を聞きメモを取った。
「そういえば、何で自分で買いに行こうとしなかったんだ?」
俺は素朴な疑問を俺に投げかけた。
そして、俺はこう答えた。
「隣人当選での条件らしい」
「隣人当選て頭の中に響いたやつか? ていうかお前も未来で当選してたのかよ……。で、お前の内容って何なの?」
「俺のは、過去の自分の隣人になることだ。しかも俺の場合、過去の日にちを指定できる代わりに過去で物の売り買いなどの権利を行使することができないという条件付きだ。だけど情報を伝えるのは自由って訳。ちなみにこのマンションの賃貸は勝手に手配済みだったけどな」
「なるほどな! で、俺が金持ちになれば未来のお前も金持ちって訳か」
「そういうこと。じゃあ早速買いに行ってきてくれ。俺は自分の部屋で寝てるから」
「さすがに二人で行くのはヤバイからな。じゃあ早速行ってくるよ! でも、お前寝てるって……引っ越しの荷物片付けろよ」
「はぁ? 3日しか居ないのにそんなことする訳ないだろ」
「はぁ、さすが俺。ぐうたらすぎて笑えてくる。まあ俺も同じ立場だったらそうするか!
じゃあいくぞ! さぁお前も帰った帰った!」
じゃあいくぞ! さぁお前も帰った帰った!」
それから、俺は家の近くの宝くじ売り場まで走った。すぐに着いたが、まだ開店まで30分あった。
普段なら待つのが大嫌いな俺。だけど今は大金が手に入った後の妄想で頭がいっぱいで、あっという間に30分が過ぎた。
「いらっしゃいませ。お待たせしました」
「お待ちしてましたー」
こう答えている自分のウザさに笑える。
早速ナンバー7の記入用紙を受け取り、未来の俺から聞き取った数字を塗り潰した。
「これ一枚お願いします」
売り場のおばちゃんに記入用紙と小銭を渡し、自分の予想数字の入ったクジを受け取った。
やったー! これで大金持ちだ。
俺は無意識にスキップをしていた。
スキップっていつぶりだよ! と自分にツッコミを入れながら浮かれて家に向かった。
翌日の夕方、とうとう当選発表を迎えた。
ドキドキしながら俺達はインターネットで当選番号を探していた。
「本当に大丈夫だろうな?」
「何言ってんだよ! ちゃんと調べてきたんだ、間違いない!」
そんなことを話しながら、ページをクリックして進んでいった。
そして、当選番号発表のページにたどり着いた。
……
……
……
……
……
「「キターーーーーー!!!!!」」
1等7億円!! 俺達は抱き合いながら喜んだ。端から見たらかなり奇妙な光景だが、それどころじゃない。この時点で、俺の……いや俺達の人生一発逆転が確定した。
「いやー、マジありがとう俺」
「いやー、こちらこそありがとう俺」
俺達は夢心地で飲み明かし、そのまま酔い潰れて眠りについた。
翌日は仕事だったが、もう関係ないと出社することを放棄した。
翌日目覚めたのは昼過ぎだった。会社から何件も着信が入っていたが、気にしない。
「おい、俺起きろ!」
「うぅ……あ、おはよう俺」
「今日でお別れだな」
「おう、俺は未来で大金持ち、お前はこれから大金持ちだ!」
「なんか楽しかったな!」
「そうだな!」
俺達はその後も夢を語りながら、深夜0時まで過ごした。
そして、深夜0時……。また頭の中にあの声が流れた。
『3日間が経過しました。お疲れ様でした。隣人当選いかがでしたでしょうか。お楽しみいただけたでしょうか。
それでは告知していた通り、今後のお手続きをご案内致します。
早速ですが、これからあなた方には隣人当選で得た利益を賭けて殺し合いをしていただきます。さあ! 人生を変える殺し合いのスタートです!』
「「えっ!?」」
完
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