2021年2月25日木曜日

住宅ローン繰上返済のタイミング

 住宅ローンは、多くの方が抱える人生で一番大きなローンです。早く返し終えたいと考えている方は私だけではないと思います。

 人生で最大の買い物、マイホーム。それを手に入れるために多くの方が使わなければならないのが住宅ローン。使わないで済むに越したことは無いですが、中々そうはいきませんよね。

 持ち家か賃貸か……から始まり、全額ローンかガッツリ頭金入れるか、繰上返済するかしないかなど、様々な意見があるのは承知の上で、今回は住宅ローンを利用した方向けに、繰上返済をする場合についてのタイミングや注意点などを書いていきます。



 まずはじめに、住宅ローンの金利と利息計算方法について纏めておきます。


住宅ローンの金利制度

 民間金融機関で扱う住宅ローンの金利制度は、

・変動金利型

・全期間固定型

・固定金利特約型

大きく分けてこの三つです。

 『変動金利型』は半年ごとに金利の見直しの可能性がある金利制度であり、金利は低く設定されています。多くの金融機関が、基準金利から割引く仕組みを取り、今では1%を切るのが当たり前となっています。

 『全期間固定型』はその名の通り、金利が返済終了まで一切変わらない金利制度です。その分金利は高めに設定されています。

 『固定金利特約型』は、ある一定の期間金利が変わらない仕組みを持つ、大枠で見たら変動金利型に属する金利制度です。固定期間終了後は基本的には金利は上がります。
 ただし、切替え時に他の金利制度に変更も可能としているところが多いです。子どもが大学を卒業するまでは絶対に金利を一定に、かつなるべく低く抑えたい! といった事情をお持ちの方が利用する事が多いです。十年前は主流商品でしたが、今使う人は多くないと思います。


住宅ローンの返済方式

 住宅ローンの返済方式は二通りあります。一つが元利均等返済、もう一つが元金均等返済てます。

・元利均等返済とは……

 毎月の総返済金額(返済元金と返済利息の合計)が一定となる返済方式です。金利が変わらなければ毎月ずっと同じ額を払えばよく、将来のライフプランニングをする際など、計画が立てやすいといったメリットがあります。ただし、後述する元金均等返済と比較し、支払総額が多くなるのがデメリットです。

・元金均等返済とは……

 毎月の返済金額のうち元金部分を一定とし、そこに利息を合計して支払いする方式です。返済開始時の返済額が一番多くなり、残高の減少と共にそこから毎月徐々に返済額が減っていきます。元金の返済が早い分元利均等返済よりも支払総額が少なくなります。


【参考】ローンの利息計算方法

 毎月のローンの利息額は、

◎残高×金利÷12で算出します。これは、元利均等返済も元金均等返済も同じです。当然ですが、残高が多ければ多い程、金利が高ければ高い程、利息額は大きくなります。

 因みに、ボーナスを併用している場合は、

◎毎月支払分の残高×金利÷12

◎ボーナス支払分の残高×金利÷2

 でそれぞれ算出出来ます。


 住宅ローンの金利制度等については以上です。これらを踏まえつつ、繰上返済について書いていきたいと思います。


繰上返済

 繰上返済をするに当たって考慮すべき一つがそのタイミングです。タイミングによっては損する可能性もあり、繰上返済の効果が変わる可能性もあります。また、繰上返済の仕方にもパターンがありますので、それを知っておく必要があります。

繰上返済する前に絶対確認を〜

 返済をする前に、まずはご自身の住宅ローンの状況を明確にしましょう。

◆住宅ローンの残高と残りの期間

◆住宅ローンの金利

◆住宅ローン控除の対象か否か

◆ボーナス併用払いかどうか

◆繰上返済の手数料があるかどうか

 また、繰上返済の目的も明確にしておく必要があります。

◆繰上返済をして減らしたいものは何か(支払総額・毎月の返済額・ボーナス返済額etc…)


【参考】住宅ローン控除とは……

 
 正式には「住宅借入金等特別控除」といい、住宅ローンを利用して住宅の新築・購入、建替え、増改築工事を行った場合、一定の要件を満たすと年末のローン残高に応じて所得税の控除が受けられる制度です。控除を受けられるのは最長で10年間 (令和元年10月1日から令和2年12月31日までの入居は諸条件により13年もあり)。
 具体的な控除の割合は、年末時点のローン残高の1%となります。ただし、住宅ローン控除の上限は年40万円まで、認定長期優良住宅や低炭素建築物では年50万円までとなっています。例えば、年末のローン残高が3,000万円なら、控除額は30万円になります。


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 確認が出来たら――パターン別に繰上返済のタイミングを見ていきましょう。


①住宅ローン控除対象期間中の場合


 ⇒住宅ローンの金利によって判断が必要となります。

 適用金利が1%を上回る場合は、控除期間中でも繰上返済をした方がメリットがあります。余裕がある方は繰上返済しちゃいましょう。

 1%を下回る場合は住宅ローン控除が終了してから繰上返済した方が得になります。言い換えると金利1%未満で使ってるなら繰上返済すると損になるということです。控除期間が終わってからガッツリ繰上返済してください。

 ※但し、残高が多く、控除上限より住宅ローン残高の1%が控除上限より大きくなる場合や、控除額が余ってしまう場合などは、金利が1%より低くても控除期間中に繰上返済した方がメリットが出る場合があります。確認必須です。


②住宅ローン控除の対象ではない場合

 出来るだけ早いうち繰上返済した方が総支払額が少なく済みます。前段で利息の計算方法をお伝えしましたが、残高が多い程支払利息が大きくなります。なので、なる早で繰上返済する事で、支払利息を抑えることが出来ます。

 具体的には繰上返済試算をしてみるとわかりやすいです。各金融機関のサイトにシミュレータがありますので試してみてください。


③住宅ローン控除期間中にどうしても繰上返済をしたい場合

 ①で記載した通り、住宅ローン控除期間中では繰上返済すると逆に損する可能性もあります。しかしそれでも減らしたいという方はいると思います。

 その場合は、12月末を過ぎた年明けに繰上返済しましょう。なぜなら、住宅ローン控除の基準となるのは、12月末の残高だからです。

 何も知らずに12月下旬に繰上返済〜♪♪とやってしまうと、その年の控除額が減額されてしまいます。数日、数週間待てば年を明けるのであれば、絶対に待ちましょう。

※但し、残高が多く、控除上限より住宅ローン残高の1%が控除上限より大きくなる場合や、控除額が余ってしまう場合などは、出来るだけ早い方がメリットが出るので確認要です。


④ボーナス併用の場合

 毎月分、ボーナス分、それぞれ按分など、繰上返済のパターンを選択出来ます。

 ボーナス払いを併用し、多くボーナス払いをしている場合(50%・50%で利用など)は、ボーナス払いから繰上返済した方がいいですね。ボーナス払い分は半年に一回しか残高が減りませんので、長い間その残高に利息が掛かることになります。なのでこの場合はボーナス返済から返済した方が、総返済額は少なくなります。

 サラリーマン収入におけるボーナスカットなどのリスクに備える為にも、なるべく早くボーナスを返した方がいいですね。


 以上が大まかな繰上返済パターンとなります。なお、上記どのパターンにおいても繰上返済後は返済額そのままに、返済期間短縮とするようにしてください。その方が総返済額が少なくなりますので。余程毎月の返済額を減らしたいという希望が無ければですが。

 まとめ……、住宅ローンの利用状況により得となる時期が変わります、そして期間短縮でヨロシク!

 雑な纏め方でスミマセン(笑)


毎月の返済額を減らしたいお方

 最後に期間短縮をオススメしましたが、どうしても毎月の返済額を減らしたい、毎月のキャッシュフローをプラスにしたいなどの希望がある場合は、時期にかかわらず繰上返済をするのもありだと思います。

 ご自身の状況に合わせご対応ください。知らずに減額するのと、知って敢えて減額するのでは大きな違いがありますので、人生において不利益にならないよう措置していきましょう。

【参考】
 繰上返済をした場合、その後支払期間を短縮するか、返済額を減額するか選択する事が出来ます。

 ※金融機関毎にルールが違いますが、基本的には契約変更手続きによりどちらでも可能でしょう。詳細は各金融機関に問合せをお願いします。


最後に、繰上返済手数料について

 住宅ローンの繰上返済にあたり、手数料がかかる場合があります。

 特に固定金利特約型の多くは手数料が掛かることが多いです。

 また、一部繰上返済、全額繰上返済によっても違いますし、金融機関毎に手数料設定も異なります。

 中には「残高の◯%を手数料とする」ところもありますので、繰上返済の前に必ず確認してください。なんにせよ、折角の繰上返済がガッカリとならないよう色々確認しながらやってみてください。

 もし、色々調べて金利、手数料、銀行マンの対応など納得できないものがあれば、他行に借換えするのもありですね。

 今の世の中知らなければ損になることが山ほどあります。幸運にもWebで何でも知る事が出来る世の中になって来ましたので、それを最大限活用し、自身に得になることをドシドシ実践していきましょう。

 尻つぼみな締め方になりましたが、引き続き、様々な情報を発信していけるよう努めますので、またの訪問宜しくお願いいたします。




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